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書籍タイトル:輪をひろげる青年たち

輪をひろげる青年たち
  • 一般定価

    1,296円

  • 発行

    日本青年団協議会

  • 目次

    • 第一章 M君への手紙
    • 第二章 都市青年と組織活動
    • 補章 中国の青年たち

はじめに

青年団研究所も昭和55年度に再発足して以来、この所報第四集「輪をひろげる青年たち」の発刊をもってまる四年を迎えた。

青年団の高揚期といわれた昭和二十年代後半に設置された「青年団研究所」は、共同学習の手引き編さんや主体性確立三ヶ月計画等とも深くかかわり、大きな成果を上げつつも三年間という期間でその役割を終えてしまっている。青年団の頭脳的存在であり、運動発展へのさまざまな可能性を引き出す存在であった「研究所」であったにもかかわらずである。その理由はいろいろとあろうが、青年団運動の日常的な繁忙性や財政的状況などもからみ、継続させることが困難だったようである。当時に比べてみれば現在は確かに存続する条件は整っているかもしれないが、大変地味な存在に受け取られがちな「再生研究所」がかつて存在した研究所よりも一年でも長く存在してきた意義は大きい。申すまでもなく、「継続は力なり」だからである。

さて、五八年度の研究所は、過去三年間の研究をふまえながら、第一段階としてのまとめに入りつつある分野も出てきた。それは、第四集には含まれていないが、地域委員会(地域づくり)による全国青年問題研究集会の参加者レポートの分析をもとに、二十数年間にわたる地域変革にとりくんだ実態をまとめる作業であり、もう一つは、学習委員会による全国的な青年団における学習活動の事例などをもとに、理論と実践を組み合わせた手引きの発刊である。

研究所の活動は、常に調査、研究し、そして多面的に分析した上で組織に還元(研究成果の発表)するという有り難いもので、着実に成果を還元しつつある。第四集は、今強く求められている「活動家の養成」にも深く切り込んでいる。同時に、青少年の発達の危機が叫ばれる中で打ち出されてきた教育改革の動きにも都市在学委員会は一定の見解をさし示した。さらに、都市在学委員会では、名古屋と東京(三鷹)の調査から実践を合めきめ細かに報告されている。また、補章では、過去二回のアメリカ及び朝鮮民主主義人民共和国の青年(運動)に引き続き「中国の青年たち」をとりあげた。中国の青年たちをとりあげた理由は、一つに日青協とは三十年に及ぶ歴史的交流の経過があり、一度きちんと整理してみたかったこと。二つ目には、今年の秋日本の青年が三千名中国の招待を受け、訪中するという歴史的事業を迎えていることにある。

以上、四章からなる本所報は、それぞれの委員会が持ち味を生かした報告となっているため、章毎に表現の違いはある。表現の自由そのものも、研究の自由を保障する立場から理解いただければ大変有難たい。

研究所の活動は、所報第三集「地域に根ざす青年たち」の第六章にも掲載されている通り、「その基本をなすものは全国の団員一人ひとりにあり、団員を離れた研究はなく、団員に支援されない研究もあり得ない」と言われている通り、そのことが委員会でも常に取り上げられてきた。

私たちは、今、団員倍増運動に真剣にとりくみ、青年団の質と量を高め、青年の自主的、主体的な考えをもとに、地域社会の変革者たる存在をめざしている。そのためには、組織としての「社会的提言力」や「地域を動かす発言力と行動力」をもたねぱならないし、それに応えうる組織力が当然要求される。そのような観点からも本所報は全国の活動家たちに幾つもの提言が行われている。その一つに、「活動家であるための大事な姿勢、心がけには『謙虚』ということがあるのではないでしょうか」と問うている。それは即ち、「自問できる、耳を傾けられる、間違ったら率直に反省できる」(真理や真実、正義に対して忠実であれ)ということである---このようなややもすると忘れがちな側面にもきめ細く提言されていることに注目したい。

全国の青年団運動を活性化させる鍵は、活動家自身の成長と仲間と共に物事を創り上げていく姿勢以外にない、といっても過言ではない。そのような視点からもこの第四集を今後の活動に大いに生かして貰いたいものである。そして、活動家の質的向上をはかり、私たち青年団が強力に運動を展開している、「平和連動、新しい地域づくり、団員倍増運動」を限りなく前進させていきたいと願っている。青年団の仲間の輪をもっともっと広げ、青年一人ひとりの成長をもとに力強く青年団運動を展開されるよう心から期待するものである。

所報第四集はあくまでも研究所としての研究過程における発表であり、結論ではない。全国の仲間が青年団の展望をきり開くため、積極的に意見をよせていただくことを期待したい。

一九八四年六月
日本青年団協議会会長 小野寺喜一郎

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