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日本青年団新聞2020年9月号7頁

社会教育コラボNo.1


紙面の都合上、日本青年団新聞9月号でお伝え出来なかった対談のインタビューをこちらで公開いたします!



社会教育って何だろう?



地域の中で社会教育と密接にかかわってきた青年団として、今後の地域の自治について語り合い、自治体が「青年たちが育つ環境」を整えることの重要性を考えていく。今号では雑誌社会教育の編集長として1991年から社会教育に関わってきた近藤真司編集長に、地域にとっての社会教育、青年団についてお話を伺う。



社会教育に関わったきっかけは趣味のマラソンからだった。



(戸嶋)昔は各地域に公民館が設置され、そこを拠点に地域の社会教育が育まれてきました。青年団は社会教育関係団体として位置づけられ、地域やそこに住む人々と深くかかわることで、人としての成長や愛郷心を醸成させてきました。しかしながら、近年は拠点となる公民館のコミュニティセンター化や社会教育主事の減少など、自治体における社会教育の立ち位置が低くなってきているように感じます。29年間社会教育を見てきて、その役割は明確に変わってきていると感じますか。もしくは若者が変わってきていると感じますか。



(近藤)90年代前半は昭和の香りが残る活動が多く、東京でも社会教育主事(以下、主事)の主な仕事は青年教育でした。金の卵(集団就職)が社会にでて生活を始めた頃で、港区の虎ノ門界隈にも青年館がありました。しかし、90年代後半になると、少年自然の家等が統廃合され、青少年の居場所が奪われてしまったのです。2000年代の行政改革、市町村合併が一つの時代の変わり目でした。社会教育の役割も若者も変わらないが、それぞれの置かれる環境が変わってきています。



(戸嶋)主事と青年団の関わり方も大きく変化しています。私が20代の頃は、夜な夜な青年団室に顔を出し、ひざを突き合わせながら同じ目線で青年たちを支え育ててくれた主事がいましたが、今はあまりません。



(近藤)市町村合併や指定管理者制度の導入もあり、市民と触れ合いながら現場で動く公務員が少なくなっています。今、何かをやる時期だと感じています。



(戸嶋)近藤編集長にとって「社会教育」とは何ですか。



(近藤)水と空気のような、あって当たり前の存在だけど、ないと困るものです。例えば、効率を求めて食事を点滴に代えることや最近流行りのオンラインだけでの会話になった場合、生きる意欲が湧いてこないでしょう。やっぱり五感で味わう料理は美味しいし、人とは直接会って会話をした方が生活は潤います。人が集まることで社会はつくられ、学びの縁で人とつながり、交流ができます。人は生きるためには人と関わり、学ぶことが必要です。きっと社会教育がなくなったら、生きることがしんどくなってしまうでしょう。



(戸嶋)近藤編集長はこれからの青年団をどのように見ていますか。



(近藤)リーダーという花を育てる視点に置き換えると、畑に種を植えて芽が育つには、畑は耕されていなければなりません。畑を耕すことこそが青年団活動ではないでしょうか。青年団はまさに地域リーダーのインキュベーター(卵を人工的に孵化させるための装置)なのです。今、新型コロナウイルス感染症の影響で公民館等に集まることができず最大のピンチですが、歴史の中で、青年団はいつも困難を越えてきました。「継続は力なり」という言葉もあるように、各地の青年団も今という歴史を積み重ねて活動を継続してほしいです。



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(戸嶋)都市部でも地方でも同様の状況です。行政の中で職員のリーダー育成を行う地域もある(福井県等)が、世の中的に職場のリーダー育成が衰退している原因は何だと思いますか。



(近藤)コミュニケーションの方法が変わった(パソコンやスマホの普及)こともありますが、一番大きな原因は子どもの数が減ったことです。昔はジュニアリーダー育成事業が盛んで小学生をキャンプに連れていく循環ができており、ジュニアリーダー経験者は企業に入ってもリーダーシップを発揮でき、重宝されました。しかし、2000年頃から地方行政職員は採用試験が課せられ、地域活動等の経験がない人が採用され始めました。そういう人は市民に寄り添う苦労を避ける傾向にあり、公民館への人事異動は「左遷」と誤解されることもあります。



(戸嶋)今の若い人たちが何を起点に、何を訴えていくべきだと思いますか。



(近藤)青年団には独身者や既婚者、小さな子どもを持つ方もいます。身近な小中学校(特に小学校)に関わっていくと、地域が見えてくるのではないでしょうか。地域の中に共通資産として学校があります。学校に興味を持って、一緒に子どもたちと遊んだり、行事をするのはでどうでしょう。例えば、地域には農業や医者等、どのような仕事があるか、ロールプレイング事業(滋賀県もりやま青年団の「もりやま☆こんにちワーク」等)もいいですね。芋ほりの手伝いや地域の安全マップをつくることは、学校側も地域の協力を得ています。学校に目を向けて、地域で顔の見える活動をしていくことは、学校側からすると「学校を支援する人を拒否しない」、地域住民側からすると「地域の子どもを大事にする人を大事したい」と、青年団にとってとてもよい戦略になりうるでしょう。

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