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HOMEWeb生きるWeb生きる(年表)成田 勝治(石川県能登半島)

能登に生きる

石川県青年団協議会OB(元理事) 成田 勝治

「豪雨襲来」

 平成30年8月31日(金)に能登を襲った集中豪雨は、昨日の夕方から降りつづく雨が翌朝になると、自宅の裏の谷間から水が滝のように音を立てて流れ出していた。
「これは大変だ!」家の前川には100m先に2級河川があり、川の幅は広い所で40mある。水がすでに堤防を越え、濁った水が見えた。両岸地帯には田んぼがあり、すでに冠水した農道の低いところは水が走っていて通行には足を取られる状況だ。
昨日の夕方まで稲刈りをしていたコンバインは田の中に置いたままで、水に浸かると電気系統が破損するので農道の高台まで移動させた。ここまで水は来ないだろうと思いきや、予想外に水が押し寄せて、コンバインは大損害を受けた。

「防災士として」

 当地区は、川に沿って左右一列に人家が約2kmの距離にあり、特に上流から左側の人家は裏に山が近く、急傾斜地域に指定されている。
上流は大丈夫か心配で見に行くと、すでに川は氾濫しており、向こう岸の人家へはコンクリートの橋台根本が濁流でえぐり取られて渡れない状況である。町道はみるみるうちに1mほど水が浸かってしまい通れない。 その時“ゴォー”と音がしてカーブ地点の山が崩れ落ちて町道を塞いだ。人がいなくて幸いだった。
消防署員が見回りに来るが、濁流で渦を巻いており、手が付けられない状況である。上流側には、13戸の人家があり高齢者と寝たきりの老人が1人居る。私は携帯電話で各戸へ安否確認をして、絶対に外へ出ないように念を押した。 寝たきりの老人を除いて安否は確認できた。災害時は「自分の命は自分で守れ」と言われるが、高齢者が多いなかで年老いても健康が大事であることがわかる。午後からは、雨も小降りとなり水が引きはじめて老人を救護できた。 人身事故もなく17名の高齢者等を町の避難所へ搬送し一夜を明かしてもらった。

「被害状況」

 人身事故無し・町道より低い場所の農作業場は浸水が多く、農機具等の被害が多数出た。軽トラック及び乗用車が水に浸かったものは修理不能となり、大損害がでる。

「天候不順」

 近年は干ばつ・大豪雨・大雪等で予想以上となる天候がつづく。地球の温暖化が影響しているのか?

「防災訓練」

 当地区では防災組織を結成しているが、「いざ!」というときは家に残って居る者は高齢者が多い。若者は勤めでいない。災害発生は時間の予測ができない。
防災訓練は、2年に1回実施しているが、今後は毎年実施して慣れることが大事だと思う。“備えあれば憂いなし”としたい。
「当地区で過去にこんなに豪雨があったか」最長老者に聞くが、こんな大雨は初めての経験だという。河川の改修工事は下流から進めているが、軟弱地盤で難工事のため当地区まで届かない。 当日の氾濫状況がテレビで放映されたが、思い切った予算の増額を要望することが急務である。

「終わりに」

 能登は少子高齢化でだんだんと過疎化が進んでいるが、黙々と住みつづけて耕地は維持管理をしなければならないと思う。それには健康が第一である。自分たちの若い頃は、こんな状況は考えたこともなかった。 小学校は廃校となり統合され子どもたちの登下校の姿が見えなくなった。
“災害は忘れた頃にやってくる”といわれていたが、今後は、“災害は忘れないうちにやってくる”。これが時代の変化か!



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